Amazon Echoって何?
「Amazon Echo」は、Amazon製のBluetoothスピーカーで、「Alexa」という愛称の音声アシスタントが搭載されたスマートホームデバイス。
「アレクサ、」と話しかけるだけで好きな音楽をかけたり今日の天気を教えてくれたりする。
リビングに置いて家族で生活しながら声だけで操作出来る事が人々に驚かれてヒットしているようだ。
一方、Googleもすでに「Google Home」という据え置き型スピーカーを発売しており、音声アシスタントにはAndroidですでに提供中の「Google Assisitant」が搭載されている。
Google Assistantは、Android端末ではロック画面状態であっても「オーケーグーグル、」と声をかけると自動的に音声待機状態になることで利用可能だ。
またAppleもiOSですでに音声アシスタント「Siri」を提供している。
こちらもiPhoneがロック画面の状態であっても「ヘイシリ、」と声をかけるとSiriが自動起動し音声待機状態となるので、完全にハンズフリーで利用できる。
なぜAmazon Echoがだけが注目される?
その理由のひとつに、技術仕様を先んじて公開し、サードパーティの参加を進めてきたことがあるだろう。
Alexaは2015年7月にサードパーティや開発者にサービスへの参加を促すために開発技術の公開をスタートしている。
スマホで言うとアプリに該当する「スキル」と呼ばれるサービスを作成するためのツール「Alexa Skills Kit」や、他メーカーがAmazon EchoのようにAlexaを搭載した製品を作れるようAVS(Amazon Voice Service)という仕様を公開した。
一方、Google NowとSiriはその部分で後発部隊だだ。
Googleは2016年12月にスマホアプリにあたる「アクション」を作成するための「Actions on Google API」を公開したのは2016年12月だ。
そして、サードパーティ製のスピーカーにGoogle Assistantを搭載するための仕様である「Google Assistant SDK」を公開したのはつい先日である2017年4月だ。
AppleにいたってはアプリにSiriを使うためのSDK(ソフトウェア開発キット)を2016年6月に公開したのみだ。
そして、Siri搭載のスマートスピーカーなるデバイスはまだない。
またAmazon Echoが他よりも注目を浴びている別の見方として、単純に音声だけの会話のキャッチボールをするのに一番優れているからだという評判がある。
Google AssistantやSiriがスマホなど画面があるデバイスを念頭に設計されているのに比べて、Alexaは音声だけでやり取りを完結させるよう設計されているので、完全なハンズフリーで使えるところがア画期的なのだそうだ。
是非とも一度試して見たいものだ。
Amazonの独り勝ちなるか?
今回の音声アシスタントAIは、プラットフォームの奪い合いだ。
ひとたびどれかのAIがデファクトスタンダードになると、サードパーティ製のスピーカーは、そのAIを組み込むし、アプリもそのAIを組み込む。消費者はそのAIに話しかけ、そこに接続されたサイトの商品を選択の余地もなく購入する。
あらためて3社のビジネスモデルを振り返ってみよう。
Amazonはネット通販のポータルサイトで、販売手数料が収入の源泉だ。Googleは検索サイトで広告掲載料で儲け、Appleはハードウェアメーカーなので製品の販売で儲けている。
今回の音声アシスタントプラットフォーム争奪戦は、前回はiOSとAndroidの争奪戦をイメージさせる。
OS戦争のときはスマホというハードウェアの販売シェア争いとも直結していたので、Appleは品質で勝負し、Googleはサードパーティを巻き込む戦略で戦った。ちなみにこのときAmazonはAndroidにロックを掛けた程度のKindleしかハードウェアは持たなかったので低価格戦略一本だ。
OS戦争ではハードウェア販売の勝負だったので、Appleは勝たなければiPhoneが売れなくなるので待った無しだったが、Googleは負けたとしても広告収入が減るわけではなかったのであくまで挑戦者の立場だ。
結果としては、サードパーティを巻き込んだGoogleが全体数では勝利したが、メーカー単体でみれば使い心地を追求したAppleがシェアトップで勝者だ。
さて、今回の音声アシスタント戦争はどうなのか。
先行後攻のタイムラグを無視すると、おそらく3社の品質に差は無くなって行くだろう。
しかし今回は、Amazonの物販ビジネスに直結するツールなので、待った無しになるのはAmazonだ。
だからおそらく、音声アシスタントはしばらくはAmazonのAlexaが勝利するかも知れない。
ただし物販に限らず、車との連携など全てのデバイスとの接続を視野に入れるとAppleとGoogleも本業に関わる事態となるのでのんびりはしていないはすだ。
近いうちにiPhoneやAndroidのスマホやスマートウォッチなどにAlexaが何かの形でインストールされるようになるだろう。
AppleとGoogleはすでにOSレベルで音声アシスタントが利用できるのでサードパーティデバイスは3種類の音声アシスタントに対応した製品がスタンダードとなってくるだろう。
そうなると最終的には消費者は3社の音声アシスタントを選んで使えるようになるだろう。
こうなってしまうと独自のOSを持たないAmazonは不利な戦いを強いられるかも知れない。
ちなみに、Appleも市場に受け入れられている今のトップ品質に陰りが出てきでもしたら、あっという間にAndroidに取って変わられる危険をはらんでいる。